大前研一氏の占い

ジャーナリスト 呉錦発


日本の経営コンサルタント大前研一氏の「中華連邦」という本が、先ほど台湾で翻訳出版された。大前氏は両岸の産業、政治、軍事面などの現状、趨勢から、中国と台湾は2005年に「中華連邦」を結成すると予測している。

この本は、厳密な論証に欠けている。さらに重大な欠陥は、この地域に決定的な影響力を有する米国の戦略を完全に無視しているため、説得力がない。しかし、台湾の親中派メディアは、この本に飛びつき、話題づくりに奔走した。

大前氏は、専門分野でもない台湾について、占い師のように予言をたてたが、自分の国については、どういう風に占っているだろう。彼は本当に、台湾と中国は、孤立した問題と見ているのだろうか。日本や米国は、台湾と中国の問題について、全然関係がないと考えているのだろうか。まさに天真爛漫といえよう。

最近の「諸君」誌上の論説を見ると、日本ではナショナリズムに基づいた言論が増えつつあることが分かる。これらの変化は、中国と北朝鮮の持続的な圧力に由来するものであり、このエネルギーが将来どの噴火口から噴出するか、大前氏は慎重に予測した方がいい。日本が、経済の繁栄に目がくらんで、国の安全保障問題をおろそかにすれば、近隣の危険勢力の餌食となろう。

われわれがこの本に注意する点は一つ。心理面の暗示作用である。「中国が崩壊したら、台湾が救われる」または、「中国が援助の手をさしのべ、台湾が救われる」と思うのは、いずれも荒唐無稽な愚人の夢である。

北京政権に望みを託すことは、三百余年前、開拓者鄭芝龍が夢見たことである。鄭芝龍は、台湾と福建沿岸を支配下におき、北は九州から、南はヴァタビアまでの広大な貿易圏を開拓し、強大なオランダ軍勢をうち破った。それほど強い勢力を誇った鄭芝龍は、「清朝に降伏して、見返りに沿岸の貿易権を得て、鄭王国を安泰にする」という愚妄な夢を求めたため、清によって滅ぼされた。当時、事態を冷静に判断した息子の鄭成功は、父親に書簡を送っていさめたが、無駄に終わった。鄭芝龍が貿易の利権を夢見て清に滅ぼされた歴史的事実は、今日競って中国詣でに走っている台湾の「赤い商人」たちに、何らかの教訓を与えないだろうか。

最近台湾南部で、次のようなジョークがはやっている。「本当に台湾を売るなら、親中派に任せることはない。われわれ台湾人が、自らやればよい。アメリカに売り渡せば、少なくとも値段はよくなるし、今の民主主義も維持できる。」ジョークとは言え、親中派に対する不平、不満が見て取れる。

清朝の降伏勧告を拒否した際、鄭成功が述べた次のような言葉は、台湾の人たちに参考になるだろう。「清朝が与えてくれるものは、すべて私がすでに持っているものだ。何故、清に降伏し、改めて褒美としてそれをもらう必要があろうか。」
(南方快報より)

トップページに戻る


[PR]DoCoMoご利用の方必見!:無料の運命鑑定≪スピリチュアルの館≫