
民主主義体制を破壊する宋楚瑜
ジャーナリスト 金恒[火韋]
正常な民主主義社会では、親民党主席宋楚瑜のように、公然と政権を奪い取ろうとうそぶくものはいないだろう。先日宋楚瑜は、「与党は早く政権を渡せ。われわれが受け継ぐ」といった。民主主義の台湾で、宋楚瑜のようなものがいることは、なんと恐ろしいことだろう。
アメリカの社会では、いささかでも身分不相応な思いを公にすれば、一斉に批判を受けて、身の置き場に困る。二つの実例を挙げて説明しよう。
まず、キッシンジャーが国務長官当時、イタリア人記者ファラッチエのアメリカ外交に関する質問に答え、「自分がチームを引っ張っている。先頭に立って村に攻め込むカウボーイのようだ」と述べた。この談話は、強く批判された。なぜなら、アメリカ国民を引っ張っているのは国務長官キッシンジャーではなく、ニクソン大統領であるからだ。キッシンジャーのこの一言は、大統領の立場を無視し、アメリカ憲法を無視したものとされた。後でキッシンジャーは後悔し、自分の発言を否定した。
次に、レーガン大統領が銃撃され、全国が戦々兢々としていた頃、時の国務長官ヘイグは人心を鎮めるため、全国に向けたテレビ演説の中で、「私は事態を完全に掌握している」と述べた。しかし、大統領にことある場合、継承するのはまず副大統領のブッシュであり、国務長官にお鉢が回ってくることはない。ヘイグの談話は、世論の強烈な批判攻撃にさらされた。
民主主義の基本に関わることで、憲法の精神に反する越権行為を批判され、さすが練達の士といわれた両人も、それ以来、冷や飯を食うことになり、誰からも信頼されなくなった。
宋楚瑜の驚くべき言論に比べれば、キッシンジャーやヘイグはまだスケールが小さいといえよう。宋楚瑜の傲慢不遜な態度は、あたかも政権は彼等の私有物で、意のままになるもののようだ。
宋楚瑜は民主主義終焉の鐘を打ち鳴らしている。台湾の民主主義は、宋楚瑜一派が意のままにするのを許すのか。
(2003年5月26日 鯨魚電子報より)
トップページに戻る